医療学会展示会での成功は、会期中の活動だけでなく、会期後のフォローアップによって大きく左右されます。
多くの企業が展示会後のフォローアップを軽視しがちですが、実はここに大きな差別化のチャンスがあります。
本記事では、展示会後の成約率を高めるための効果的なフォローアップ戦略に焦点を当て、具体的な方法をご紹介します。
展示会後のフォローアップが重要な理由
医療機器の購入決定は即時に行われることはほとんどなく、展示会がきっかけとなって検討が始まり、その後の継続的なコミュニケーションを経て成約に至るケースがほとんどです。展示会コンサルタントの調査によると、展示会で獲得した見込み客の80%以上が適切なフォローアップを受けていないという結果が出ています。
つまり、効果的なフォローアップ戦略を実施することで、競合他社との大きな差別化が可能になるのです。
展示会後48時間以内のアクション
展示会後の最初の48時間は、来場者の記憶が鮮明なうちにアプローチできる貴重な時間です。この時間を有効活用するための具体的な方法をご紹介します。
1. 個別対応のお礼メール
単なる定型文のお礼メールではなく、会話の内容を反映した個別対応のメールを送りましょう。
効果的なお礼メールの要素:
- 具体的な会話内容への言及(「○○についてお話しした際の…」)
- 来場者が示した関心事に関連する追加情報の提供
- 明確な次のステップの提案(資料送付、実演実施、オンライン説明会など)
- 簡潔で読みやすい文章(3〜4段落程度)
2. 関連コンテンツの提供
お礼メールと共に、来場者の関心事に合わせたコンテンツを提供することで、価値ある情報提供者としての立場を確立できます。
提供すべきコンテンツの例:
- 展示会で紹介した製品の詳細資料
- 関連する医療トレンドや研究結果のまとめ
- 導入事例や成功事例のケーススタディ
- 製品の使用方法や導入プロセスを説明する動画
3. 専門的なネットワークでの関係構築
医療業界では、専門的なネットワークや地域医療連携の枠組みを活用した関係構築が効果的です。地域医療連携は、高齢者が増える中で限られた医療の物的、人的資源を適切に供給するために必須になってきています3。
専門的なネットワーク活用のポイント:
- 地域の医療連携会議や勉強会への参加
- 専門分野別の研究会や学会での継続的な情報提供
- 医療機関間の情報共有システムを活用した連携提案3
段階的なフォローアッププログラムの設計
一度のコンタクトで終わらせるのではなく、計画的な段階的アプローチを取ることで、継続的な関係構築が可能になります。
1. フォローアップの時系列計画
第1段階(展示会後1週間以内):
- お礼メールと基本情報の提供
- 電話でのフォローアップと次のステップの確認
第2段階(2〜3週間後):
- より詳細な製品情報や導入事例の提供
- 具体的なニーズのヒアリングと提案準備
第3段階(4〜6週間後):
- カスタマイズされた提案書の提示
- 実演や試用の提案
第4段階(7〜8週間後):
- 導入に向けた具体的なステップの提案
- 意思決定者を含めた会議の設定
2. 見込み客の分類と対応の最適化
すべての来場者に同じアプローチをするのではなく、見込み度に応じた対応を行うことで、リソースの最適化が可能になります。
見込み客の分類:
- 有望見込み客:具体的な導入計画や予算を持っている
- 関心度の高い見込み客:関心は高いが、具体的な計画はまだない
- 情報収集段階の見込み客:情報収集段階で、具体的な関心は低い
分類別のアプローチ:
- 有望見込み客:営業担当者による直接的なフォローアップと具体的な提案
- 関心度の高い見込み客:教育的なコンテンツ提供と定期的なコミュニケーション
- 情報収集段階の見込み客:自動化されたメール配信と情報提供
複数の連絡手段を活用したアプローチ
単一の連絡手段だけでなく、複数の手段を組み合わせることで、到達率と反応率を高めることができます。
1. メール、電話、郵送の組み合わせ
効果的な組み合わせの例:
- 展示会後すぐ:個別対応のお礼メール
- 3日後:電話でのフォローアップと追加情報の確認
- 1週間後:関連資料や製品サンプルの郵送
- 2週間後:送付物に関するフォローアップメールや電話
2. 対面とデジタルの統合
実際の対面とデジタルの接点を組み合わせることで、より充実した顧客体験を提供できます。
統合アプローチの例:
- オンラインセミナーやウェブ会議への招待
- 地域別の小規模なフォローアップイベントの開催
- 仮想デモと実機デモの組み合わせ
- デジタルコンテンツと印刷物の連携(QRコードの活用など)
フォローアップ資料の制作と活用
効果的なフォローアップには、適切な資料が不可欠です。展示会後のフォローアップに特化した資料制作のポイントをご紹介します。
1. フォローアップ専用資料の作成
展示会で配布する一般的な資料とは別に、フォローアップ専用の資料を用意することで、継続的な情報提供が可能になります。
フォローアップ資料の特徴:
- 展示会で紹介した内容の詳細情報
- よくある質問とその回答
- 導入ステップや検討ポイントの解説
- 導入事例や成功事例の詳細
2. 個別化されたケーススタディ
来場者の所属施設や専門分野に近い事例を選んで提供することで、具体的なイメージを持ってもらいやすくなります。
効果的なケーススタディの要素:
- 類似施設での導入事例
- 具体的な課題と解決策の提示
- 定量的な効果や成果の明示
- 導入担当者の声や推薦コメント
3. 段階的な情報提供のための動画シリーズ
一度に全ての情報を提供するのではなく、段階的に理解を深められる動画シリーズを活用しましょう。
もちろん「全てを動画で賄う必要があるか」というと必ずしもそうではなく、アプローチ初期段階の動画と商品の説明動画だけ準備して
競合比較やQ&Aを紙面で準備しておくのも有効です。
すでに製品の理解ができている見込み顧客には、わざわざ動画にしなくても紙のほうが求めている情報に早くアクセスしてもらうことができるからです。
TKGraphicでは、動画に限らず見込み顧客へアプローチするためのコンテンツを多数提供しています。
動画シリーズの構成例:
- 第1回:製品概要と主要機能の紹介
- 第2回:詳細な使用方法と操作手順
- 第3回:導入事例と成功のポイント、競合との比較資料
- 第4回:導入プロセスとサポート体制
フォローアップの効果測定と最適化
フォローアップ活動の効果を測定し、継続的に改善することで、より高い成約率を実現できます。
1. 重要指標の設定と測定
フォローアップの効果を測定するための具体的な重要指標を設定しましょう。
主要な重要指標例:
- メール開封率とクリック率
- フォローアップ電話の接触率
- 資料請求やデモ依頼の数
- 提案書提出から成約までの期間
- 展示会リードからの成約率
異なるアプローチを試し、より効果的な方法を見つけるための比較テストを実施しましょう。
2. 比較テストによる最適化
テスト可能な要素:
- メールの件名や内容
- フォローアップのタイミングと頻度
- 提供するコンテンツの種類
- 提案内容や提案方法
3. 意見収集と反映
見込み客からの意見を積極的に収集し、フォローアッププロセスの改善に活かしましょう。
意見収集の方法:
- 簡単なアンケートの実施
- 電話でのヒアリング
- 成約・不成約の理由分析
- 営業担当者からの情報収集
まとめ
医療学会展示会後の効果的なフォローアップは、展示会投資の成果を最大化するための重要な要素です。展示会後48時間以内の迅速なアクション、段階的なフォローアッププログラムの設計、複数の連絡手段を活用したアプローチ、適切なフォローアップ資料の制作、そして効果測定と最適化を組み合わせることで、高い成約率を実現することができます。
多くの企業が展示会後のフォローアップを軽視している現状は、戦略的にアプローチする企業にとって大きなチャンスとなります。展示会で獲得した貴重な見込み客を無駄にすることなく、効果的なフォローアップで商談成約につなげましょう。
TKGraphicでは、展示会向けのフォローアップ資料制作サービスを提供しています。チラシや動画と連携したフォローアップ戦略の構築をサポートいたします。
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